おたがいが掛け替えのない存在に

テレビにつないで、YouTubeも見ているよ。俺たち二人のお気に入りのチャンネルもけっこうあるんだ。

同じ番組をいつも二人で観ていると、考え方や感じ方も似てくるよな。同じ時間を過ごすのは大切でさ。今までもずっと仲がよかったけれど、さらにおたがいが掛け替えのない存在になってくる。

長く夫婦でいるから、そりゃあけんかもしたよ。でも、そんなことはみんな忘れちゃったな。たいがいは俺が原因だからさ。忘れちゃうのは、俺の都合でもあるけどね。

うちの夫婦は、いつもカミさんがえらい。カミさんの言うことを聞いていれば間違いない。でも一つだけ、俺が誇れることがある。それは、カミさんを自分にとって唯一の女性だと見抜いたことだよ。

俺には間違いなく人を見る目がある。

 

※本稿は、『俺は100歳まで生きると決めた』(新潮社)の一部を再編集したものです。

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俺は100歳まで生きると決めた』(著:加山雄三/新潮社)

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