おたがいが掛け替えのない存在に
テレビにつないで、YouTubeも見ているよ。俺たち二人のお気に入りのチャンネルもけっこうあるんだ。
同じ番組をいつも二人で観ていると、考え方や感じ方も似てくるよな。同じ時間を過ごすのは大切でさ。今までもずっと仲がよかったけれど、さらにおたがいが掛け替えのない存在になってくる。
長く夫婦でいるから、そりゃあけんかもしたよ。でも、そんなことはみんな忘れちゃったな。たいがいは俺が原因だからさ。忘れちゃうのは、俺の都合でもあるけどね。
うちの夫婦は、いつもカミさんがえらい。カミさんの言うことを聞いていれば間違いない。でも一つだけ、俺が誇れることがある。それは、カミさんを自分にとって唯一の女性だと見抜いたことだよ。
俺には間違いなく人を見る目がある。
※本稿は、『俺は100歳まで生きると決めた』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『俺は100歳まで生きると決めた』(著:加山雄三/新潮社)
2022年末のNHK紅白歌合戦出演を最後にコンサート活動から引退した加山雄三は、ある決意をする。「俺は100歳まで生きる」と。新たな音楽活動に挑戦して本人が「攻めに転じた」という70代から愛船の火災と病に見舞われた80代、そして未来を見据えた余生まで。自身を育んだ茅ヶ崎の海や強い絆で結ばれた友たちに思いを馳せながら、永遠の若大将が語る幸福論!