光源氏のモデル候補
ただし、光源氏のモデル候補は他にも多くいる。
醍醐(だいご)天皇によって臣下に下った源氏の源高明(たかあきら)、同じく降下した嵯峨(さが)天皇の皇子、源融(とおる)。
彼は六条の河原院の広大な邸宅に住んでおり、モデル候補の最有力である。
さらに、『伊勢物語』の主人公、在原業平(ありわらのなりひら)。姫との密通現場の状況や都落ちの情景は非常に似ている。
ほかにも菅原道真(すがわらのみちざね)などもモデルの一人だと言われている。
しかし、その中でも絶大な力があったのが道長である。
道長の歌としては、「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」が残る。
「この世はすべて自分のものではないだろうか、満月が欠けてないように、何でも自分の思い通りになる」という意味の歌だが、途方もない力があったのだろう。