「話し方」はごまかしがきかない

たとえば、初対面の相手と向き合った時、最初に飛び込んでくるのは顔や体格、髪型やファッションという外見の部分で、これらは確かにその人がどんなタイプかを直感的に理解するための手がかりとなるでしょう。

ベストセラーになった『人は見た目が9割』という本にもあるように、視覚から入る外見上の情報というのは、相手の印象を大きく左右すると思います。

『次につながる対話力「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと』(著:木場弘子/SDP)

一方、「話すこと」によるコミュニケーションの取り方も、見た目と同じくらい、あるいはそれ以上に、あなたへの評価を決める重要な要素となるのは間違いありません。

それは場合によって、見た目のファーストインプレッションを覆すこともあり得ます。

実際、見た目に十分気を遣って「お、この人、しっかりしてそうだ」と見えても、いざ話し始めるとボソボソと聞き取りにくかったり、ペラペラと口数は多いけれど中身があまり無かったりでは、好印象も途端にガラガラと崩れ落ちてしまいます。

それとは逆に、見た目の印象が今ひとつでも、聞き手のことを意識し、行き届いた話し方ができることによってイメージがぐっと良くなるケースは驚くほど多いものです。

しかも、服装や髪型、メイクなどを工夫すれば、比較的簡単に向上できる見た目と違い、話し方というのは一朝一夕には変えられず、ごまかしがききません。

テクニックやノウハウを身につければ、それなりの恰好はつきますが、肝心な「心」の面が伴っていないと、じきに馬脚を露わしかねません。