帰省するようになって気づいた

だがしかし。

私の部屋の窓から見えていた景色、実は玄界灘。
東京とは真逆の方向だったのに気づいたのは、まあまあ大人になってからである。

人が聞いたらぷぷぷーっと吹き出すに違いない、今日まで誰にも言えなかった事実。
わたしはあのころ、一体何に向かって必死に夢を描いていたんだろう。あー恥ずかしい。

家を出て帰省するようになって気づいたのだが、実家から海岸まではとととーっと高台から降りてわずか1キロくらいの距離。昔はえらく遠くに感じていたものだ。遊泳禁止区域なこともあって、子どものころ近くの海岸で遊んだことはほとんどない。

それでもそのあたりの浜辺の記憶に、ハングル文字で書かれたお菓子の袋や瓶などが打ち上がっていたのを思い出す。
ちなみに実家では昔、ラジオからいつも韓国語の放送が混じって聞こえていて、これは日本どこでも標準なんだと思いこんでいた。東京に来てラジオから聞こえなくなったので、不思議で仕方なかった。それほど九州から対岸の韓国は、遠いようで近いのだ。

高校を卒業するまで福岡の実家に暮らしていたけれど、東京に出て来て初めて
「福岡はラーメン、もつ鍋、水炊きが有名」だというのを知った。親元にいた頃、家でもつ鍋など出てきたことがないし、どちらかというとラーメンといえば醤油味が好きな家庭だった。

ここ10年くらい家族でよく行く「もつ料理 幸」

それでもマルタイの棒ラーメンはどこの家庭でも常備食で、東京の家庭ではそれが一般的でないことに、不思議を通り越して心配だった。
棒ラーメンなくて、土曜日のお昼はどうするとよ!!?

もつ鍋、水炊きなどは大人になってから両親に連れて行ってもらったのだが、

「こぉんなに美味しいものがあるとか、なんで知らんやったとかいな…何で誰も教えてくれんかったとーっ??」
(とーっ、とっとっとっとー、と夫と息子たちがからかうのを、どうにかしてほしい)。

「もつ料理 幸」はお取り寄せもできるので自宅でもお客様を呼んでみんなで食べます