26歳にして芸歴24年。2歳で子役としてデビュー以来、第一線で活躍してきた神木隆之介さんだが、ここ数年は特に新境地を開くような仕事が目立つ。落語家や刑事役、ラブストーリーなど着実に演技の幅を広げるなか、今回初めて舞台に挑むという。最近は仕事への思いにも変化があったそうで──(構成=大西展子 撮影=小林ばく)
何年経っても初挑戦は勇気が必要
2歳でデビューしてから、もう24年が経ちます。昔も今も変わらず、みなさんから「あの映画、観たよ」とか「いい作品に出ているね」と言っていただけるのがすごく嬉しいし、ありがたいです。
芸歴が長いので、「挫折したことはないの?」とよく聞かれますが、正直一度もなくて。もちろん、「こんなに長いセリフ覚えられないよ……」という絶望はありますよ(笑)。でも、もう頑張れないなあ、とは不思議と思ったことがない。楽観的な性格ということもありますが、お芝居が本当に楽しいんです。
この「楽しむ」という感覚は、僕の俳優としての一番の強みと言えるのかな。大変なこともたくさんありますけど、撮影で本番に入るとワクワクしてしまうんですよね。
どんなにキツい現場や難しい役だとしても、演じている間はその役の人間として生きているということですから。役に入った時点で、僕自身の情報や感情が一切関係なくなるのって面白い。僕にとっては一種の現実逃避とも言えるかもしれませんね。
とはいえ、何年経っても初めて挑戦する仕事は不安ですし、勇気が必要。実は今まで怖くて逃げてきたことがあるんです。それが舞台。
撮り直しもできない、セリフを飛ばせない。映像作品の撮影でさえ、セリフを飛ばした時の申し訳なさったらありません。ほかの役者さんから生の舞台でのハプニングをたびたび聞いていたこともあり、気おくれしてしまって。ずっと僕にはできないだろうと思っていました。