どんな肌に白っぽさを感じるのか

まず光が目の前の肌に入っていくところから考えます。

その時はすべての波長を含む「白い光」が入っていると仮定します。

『美容の科学:「美しさ」はどのようにつくられるか』(著:尾池哲郎/晶文社)

そして角質層の水分や油分を通り抜け、細胞やセラミドに接触しつつ、表皮最下層である基底層にあるメラニンに接触して一部の波長が吸収されつつ、一部の光は毛細血管中の赤血球で赤く発色し、様々な場所で反射や屈折をくり返して、もと来たルートを逆にたどり、肌の外に飛び出し、目に肌の色情報を届けます。

この時、目に届く光の量が多ければ、明るい色を感じ、さらに多いと、白っぽく見えてきます。

なぜなら一部の波長が吸収されるからといって、すべて吸収されるわけではないからです。

写真家の中では光量が多すぎる写真を「白ボケ」と表現することがあります。

どんな写真も明度を上げ過ぎるとすべての波長が現れて白っぽくなっていきます。

ただ肌の場合は発光しているわけではありませんので、やや白っぽく感じる程度でしょう。

できるだけ多くの光が目に届くような肌には明るさや透明感、白っぽさを感じることになります。

逆に肌内部で屈折や散乱を起こしすぎると光量が下がるだけでなく、解像度も下がり、ぼやけてしまいます。

肌の色というものが肌の状態を伝える情報であると考えると、肌の内部が光をスムーズに通すような状態、つまり屈折や散乱を起こさないような透明感を持つ状態であれば、より正確な情報を手に入れることができます。