情報を正確に伝える透明感
ここで「透明」について正確に捉えてみたいと思います。
透明とは一言で言えば「物質の境目が無い状態」のことです。
このように言えば、岩も境目が無ければ透明になるのか、と思いますがその通りです。
岩が透明に見えないのは、結晶と結晶の境目(ヒビ、亀裂、界面)が無数にあるため、そこで光が屈折し、さらに光の吸収も起きるため、なかなか光が通り抜けられないからです。
逆に結晶がきれいに成長すれば透明に見えますし、一部の波長の吸収がきれいな発色となり、宝石が生まれることになります。
その点、液体はよく混ざり合い、境目が生じにくいため透明になりやすい状態です。
液体に含まれる粒子が十分に小さければ、透明に見えます。
牛乳は分散している粒子が大きいため、光の散乱が起きて白く見えてしまいますが、メロンソーダは成分の粒子が十分に小さいので透明に見えます。
ということは、肌も細胞の結晶がきれいで、成分が十分に小さければ透明に見えるのでしょうか。
その通りです。
実際にクラゲだけでなく、中南米のグラスフロッグなど透明で体内が透けて見える生物はたくさんいます。
しかし透明な肌は紫外線の破壊力をダイレクトに受けますので大変危険です。
私たちのような一見透明に見えない肌でも、わずかに侵入してくる紫外線で肌が損傷を受け、いわゆる「物質の境目」が生じてきます。
たとえば角質細胞間に隙間が生じ、そこで光の屈折が起き、「くすみ」となります。
光の屈折が水と空気の境目でよく起きることは、池の水面を通して水中が見えにくくなる体験のとおりです。