「肌を甘やかさない」美容クリーム選びを

しかしマーケットにはすごくしっとりさせたいというニーズに合わせて、しっとり感を最大値にした美容クリームであふれています。ヒアルロン酸やコラーゲンたっぷり、といったような。

次の図は季節や年代による肌質の変化の幅と、それぞれのストライクゾーンの位置をイメージしたものです。

肌質の変化と化粧品のカバー範囲<『美容の科学:「美しさ」はどのようにつくられるか』より>

波線が肌質の変化の幅です。もし美容クリームがこの波線の左端、つまりしっとりの最大値を目指して作られたものだと、肌は保湿成分が常に十分にあると勘違いし、いつまでも保湿成分の自己生産を再開しません。

変化できる幅はどんどん狭くなり、ちょっとした環境の変化でも対応できない肌になってしまう危険性があります。

美容クリームの対応する肌質をストライクゾーンに合わせるということは、多くの場合しっとりから乾燥側にシフトすることになり、そうしたクリームには「もの足りなさ」を感じてしまいます。

しかしそうした「肌を甘やかさない」美容クリーム選びは、長い目で見れば長期間適度なしっとり感を維持してくれます。

ストライクゾーンを中心に、時には肌に適度な乾燥を与え、保湿成分の自己生産も促し、しっとり感が強い時は少なめに、乾燥が強すぎる場合はクリームを多めに、それでも乾燥する場合は高保湿のクリームで、というようにコントロールできる美容クリームがまずは必要になります。