千本玉壽軒 亥の子餅

旧暦十月の亥の日に
無病息災と
子孫繁栄を願いながら
いただく縁起もの

亥の月、亥の日、亥の刻に餅をいただくという風習は中国から伝わったもの。亥の月とは旧暦の十月、今でいう十一月の頃。ちょうど火の気が恋しくなってくる時季です。かつてはこの日に「炬燵(こたつ)開き」といって、炬燵や火鉢を出しました。

亥は十二支において、木・火・土・金・水の五行のうちの水、また陰陽では陰の気にあたるため、火伏せの護り、つまり火災よけの縁起物としても尊ばれました。その亥をかたどったのが亥の子餅です。十一月になると、小豆餡を混ぜてほんのりと紫をおびた上品な色味の亥の子餅をよく見かけます。

千本玉壽軒の亥の子餅は、こし餡を混ぜた羽二重餅で、つぶ餡を包んだもの。餅には黒胡麻が入っていて、それがまるでウリ坊の背中の斑点のようにも見えます。茶の湯の世界でも、ちょうどこの季節は炉開きなので、茶席の菓子としても喜ばれています。