車いすに乗っていても“金持ちキャラ”が勝ってくれた

晩年は腰の具合が悪くて車いす生活になってたんですけど、いずれ体調が戻っていったらまた立てるだろうという意識があった。

そして、これはありがたいばかりのことなんですけど、これまでやってきた漫才が印象の強いホラ吹き漫才やったからか、車いすに乗っていても“金持ちキャラ”が勝ってくれていたんです。笑いは繊細ですから、普通、車いすに乗って出てきた時点で「え?」となって笑いが起きにくくなる。でも、金ピカの車いすに乗って出てきたらキャラクターの力でお客さんが笑ってくださる。

笑顔でインタビューに答える横山ひろしさん
(撮影◎中西正男)

ただ、それでも、以前のように立って漫才をやっていた時とは違う。お客さんは笑ってくださっているけど、やっている側からすると、それがベストではないことは分かっている。相方も口には出さなかったですけど、なんというのかな、寂しかったと思います。いつか立てると思っていた体もなかなか言うことを聞いてくれない。

そうなると、元気にやっていた時の舞台のパワーを何かで補おうともなり、僕の口数が増えたりもしていました。何かの間を埋めるように。そうなってる時点で、元気な時の漫才とは違ってたんでしょうね。

本当にね、体のことやし、どうしようもないんです。でも、いろいろ考えもします。

今になって相方のことをアレコレ考えることもあります。まず、コンビ仲は良かったと思います。若い頃はケンカをしたこともありましたけど、ある程度の歳になってきたらケンカはなかったですしね。