常に最大のライバルでもあった

営業先に行く時でも、僕が迎えに行って相方が助手席に座って。コンビの中ではほとんど普段は会話しないという人たちが多いですけど、僕らはよくしゃべってましたね。

ただ、常に最大のライバルでもあったと思います。情はあるけど、こいつには負けないという思いもしっかりありました。だからこそ、自分が前に進めたんだと思いますし、今から思うと、本当に特殊で特別な関係やったと思いますね。

スーツの裏地の刺繍を見せる定番ネタを披露する横山ひろしさん
(撮影◎中西正男)

その相方がいなくなって、1人で漫談もしてたんですけど、これがなかなか難しい。というのはね、やっぱり笑いの量的にも漫才をやっていた時には達しない。1人で、あのドーンという笑いを起こすのは簡単なことではない。逆に言うと、相方との漫才ではしっかりと笑いをいただいていたんだなとも感じました。

またコンビを組んで漫才をすることを考えても、どこまでいっても僕の相方としたら、たかしのイメージが強い。それなら、性別も違うし、立場も全く違う嫁(松竹芸能の後輩にあたる漫才師の春けいこさん)と組む。会社(松竹芸能)からの打診もあって、その選択肢を取ることにしました。

それまでも何年かに1回ぐらいは“いい夫婦の日”とかにイベント的に嫁と漫才をやったりはしていたんですけど、きちんとコンビとして松竹芸能にプロフィール写真が載る。これはイベント的にやることとはトーンがまるで違います。

漫才を長いことやってきましたけど、改めて、漫才はやればやるほど奥が深いなと思います。夫婦と言えども芸の話をすることはない。すんなりと漫才なんてできるものではない。1歩ずつ進むしかないんですけど、難しい芸やなと今になって感じてもいます。