なぜ貿易赤字になると円安になるのか?

生島 日本はメイドインジャパンの優れた製品を、外国にじゃんじゃん売ることで儲かってきた貿易立国だったはずですが、今はそうではなくなってきているんですね。でも、なんで貿易赤字になると円安になるんですか?

岩本 端的に、教科書的に言うなら、貿易収支が黒字であれば、相手国から受け取る外貨が増え、受け取った外貨を円に替えるための外貨売り・円買い需要が発生して円高になりやすいです。逆に赤字となれば、海外への支払いのための外貨買い・円売り需要が発生し円安になりやすい、となります。

生島 なるほど。

岩本 実際に、貿易収支と為替レートの関係を見ても(下図表)、2011年に貿易収支が黒字から赤字へ、赤字幅が広がった2013年を経て、再度黒字転換する2015年上期まで、ドル円為替レートは75円から125円台にまで円安が進みました。

日本の貿易収支とドル円の為替レートの推移<『日本経済 本当はどうなってる?』より>

また、直近を見ても、貿易黒字から赤字に転換した21年下期は100円台、今回の貿易赤字のピークは2022年で、23年上期は縮小したものの赤字のままで、この間に151円まで円安が進みました。

生島 本当だ、見事に連動している。

岩本 もちろん、貿易収支だけが為替を決定する要因ではありませんが、一つの要素になっているとは言えそうです。

生島 貿易赤字と円安にはそんな関係があるんですね。

※本稿は、『日本経済 本当はどうなってる?』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


日本経済 本当はどうなってる?』(著:生島ヒロシ・岩本さゆみ/青春出版社)

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持つパーソナリティと、元為替ディーラーの“お好み焼き経済学”者。

ラジオでも大人気のコンビが、気になる経済ニュースの疑問を解き明かす、日本経済「超」解説書。