引っ越し先で断捨離の日々

私自身は、人に見られたら困るようなものは一切残していません。そういうものは、すべて捨てました。写真も、もともと撮られるのが嫌いなので、ほとんどありません。子どもの頃の写真がちょっとあるくらいです。

実は3年前、引っ越しに伴ってかなりモノを処分しました。今年で70歳になりますし、先のことを考えるとモノは減らしたほうがいい。そのために、あえてそれまでよりコンパクトな部屋に越すことを決断したのです。狭い部屋のほうが、お掃除なんかも楽ですし。

約3000冊あった本は、この先読み返したくなるだろうな、というものを本棚1棹分だけ残してすべて捨てました。手書きの原稿や自著もどんどん処分。どっかに行けば見つかるし、キリがないので(笑)。そのほか、服や家具のうち、まだ使えそうなものはバザーに出しました。

自分としては、「このくらいなら新しい部屋に入りきるだろう」と当たりをつけて、相当減らしたつもりだったのです。ところがいざ引っ越してみたら入らなくて(笑)。友人からは、「9割捨てるくらいの気持ちじゃないとダメなのよ」と、厳しい言葉をかけられました。今も、処分を継続中……。

処分するか迷うのは、たとえばジル・サンダーのロングコートなど、「買った時、高かった」と思うモノです。でも場所をとるし、着ると重い。それに丈が長いから、階段で踏んでしまうこともあります。

吊るして眺めながら、「この先、たぶん自分は、軽くて暖かいジャケットしか着ないだろう。楽なものしか着たくないお年頃だし」と。そこで思い切って処分したら、ほかの服もどんどん手放せるようになりました。一番高いものを処分すると、あとが楽になる(笑)。

『捨てたい人 捨てたくない人』(著:群ようこ/幻冬社)