あらためてあらすじ
道男の一件での心労がたたり、倒れてしまった寅子の母・はる。
自分の最期を悟ったはるの心残りは、家を出て行った道男でした。寅子ははるの想いをかなえるべく、轟法律事務所にいる道男を見つけ出し、必死に説得して家に連れ戻しました。
戻ってきた道男に対し、はるは「よくここまで一人で生きてきたね」と優しく抱きしめます。
その後、はるは自分が死んだ後のことを記した以外の日記を燃やすよう寅子に頼むと、「悔いは何一つない」とあらためて感謝を伝えます。そして寅子と花江に家のことを任せると言い残しますが、寅子は「やだ!死んじゃやだ」と泣き叫びます。
「寅子、はいと言いなさい」と言うはるに、寅子が号泣して応えられないまま、その夜、はるは静かに息を引き取りました。
なお、寅子のモデルとなった三淵嘉子さんの生涯を描いた『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター)によると、史実としては、1946(昭和21)年5月に夫の芳夫さんが長崎の陸軍病院で亡くなり、翌年1月には母のノブさんも脳溢血で亡くなっています。
自他ともに認める恵まれたお嬢様育ちだった嘉子さんでしたが、相次いで心の支えを失ったことで、自らの力で人生を切り拓かなければいけない状況に追い込まれてしまいます。
そこであらためて強く生きていくことを決意。
特に女性にとって大事なのは経済的自立だと考えるようになり、1947年3月、司法省の門を叩くことになりました。