(写真提供:Photo AC)
24年4月より放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子のモデルは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんです。先駆者であり続けた彼女が人生を賭けて成し遂げようとしたこととは?当連載にて東京理科大学・神野潔先生がその生涯を辿ります。先生いわく「お嬢様育ちだった嘉子は、自らの力で人生を切り拓かなければいけない状況に追い込まれていた」そうで――。

夫の死

終戦を迎え、嘉子は稲田登戸の両親のところへ戻り、再び明治女子専門学校の教壇に立ちます。

とはいえ、多くの人がまたそうであったように、戦後の混乱の中で嘉子の苦労は続きました。

1946(昭和21)年5月23日、上海から引き揚げてきた夫の芳夫が、持病であった肋膜炎により、長崎の陸軍病院で亡くなりました。

結婚してからわずか4年半、一緒に暮らすことができたのは3年程度でした。