なぜ、ここまでの長時間労働が発生するのか?

最大の理由は、業務量に人員が追いついていないからだ。

理不尽な国会対応なども大きな理由だが、規制緩和で小さな政府路線を走ってきたにもかかわらず、何かと言えば役所に頼ることから業務量が拡大し続ける一方で、総定員法で人員数に縛りがあるのだ。

例えば、人事院が公表した「超過勤務の縮減に係る各府省アンケートの結果について」(2023年4月)によると、アンケート対象となった44府省等のうち、恒常的な人員不足が生じていた部署のある役所が42あり、そのうち30が「定員が不足していたため」と回答している(複数選択可)。

問題はブラック霞が関の余波だ。

人事院は22年5月25日、総合職の退職状況を初めて公表した。

図6-1 採用後10年未満の国家公務員、在職年数別の退職者数

採用後10年未満の若手が対象で、20年度の退職者数は109人となり、13年度の76人から43・4%の大幅増となっている。

国家公務員I種試験が終了し、総合職の採用が本格化した13年度から17 年度までは、10年未満での退職者が100人以下で推移していたが、18年度116人、19年度139人、20年度109人と3年連続で100人を超えた(図表6-1)。

また、図表6-2をみればわかるように、5年未満の退職率は10%を超えている。

図表6-2 国家公務員総合職の退職率