中村さんは、墓じまいの際に高額の離檀料を請求されたとか、住職は贅沢をしているといったごく一部の出来事が誇張され、誤解を生んでいるのではないかと危惧している。
「私が聞いている範囲では、お寺と檀家さんの間で円満に墓じまいの話は解決しています。トラブルがなく進めるには、きちんと話し合いをすることに尽きますね。やはり皆さん、差し迫った状況にあるし、その事情はお寺側もよく理解していますから。
お寺に事前に連絡してから足を運び、正直に相談していれば、たいていは快く受け入れてくれるはずです。なので、怖がらずにご相談すればよいと思います」
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今回、3人のお話から見えてきたのは、もはや「~家の墓」を維持するのが難しい時代になっているという現実だ。
お墓の存在は、長男が家を継続する「家制度」と分かちがたく結びついている。しかし親や祖父の出身地から離れて暮らす人が増え、少子化や地方の過疎化が進むなか、こうした家のありようそのものが変化している。
今の時代、墓じまいは多くの人にとって、当事者として考えざるをえない課題と言えるだろう。
【ルポ】土地のしがらみ、子の抵抗…苦労しながら私たちが改葬するまで
●何十年も《嫁》として 守ってきたが――真澄さんの場合
●夫の遺骨を合祀墓に
入れようとしたら――理沙子さんの場合
●お寺ときちんと
話し合うのが大事――紀子さんの場合