墓には「祭祀主宰者」といって、お墓や仏壇、位牌などの「祭祀財産」を承継する人を指し、お墓を管理する全権を持っています。それならば「墓をどうしようが独断してよいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、弔いはデリケートなもの。前の記事でお伝えしたとおり、自分の理屈だけでなく、親族の気持ちにも寄り添う丁寧な墓じまいを心がけたいものです。

もし、遠縁の方で「お墓を守ります」という方がいれば、墓地管理者の承諾が必要ですが、祭祀主宰者として遺言で指定しておくこともできます。

ただし、血縁のない他人に譲渡はできません。やむをえず生前に祭祀主宰者を変更したい場合は、必ず墓の管理者に連絡し、許可を得てください。

自身亡き後、葬儀や納骨を頼める親類縁者がいない場合は、弁護士などと死後事務委任契約を事前に結んでおくのがよいでしょう。

死亡直後の対応から葬儀、火葬、納骨、散骨、住居の整理、遺言執行などを行ってくれます(契約内容による)。その際、納骨先は決めて、支払いも済ませておくと安心です。
(吉川さん)


老後の「おひとりさま」は増加の一途をたどっています。人生の最期をどうするか悩む人も多く、最近は自治体でも「終活支援サービス」を行うところが増えてきました。

安否確認や葬儀、埋葬の履行確認など、自治体により内容は異なりますが、対応してくれるので一度確認してみるとよいでしょう。

しかし私は、「人に迷惑をかけない」ことにこだわらなくてもよいと考えています。墓も無理に整理しなくとも、流れに任せるという選択肢があってもいいのではないでしょうか。(小西さん)