もらえるうちに、もらった方が

数年前、真梨枝さんはファイナンシャルプランナーに老後資金の相談をしてみました。老後も資金ショートはしないとの診断でした。年金は、65歳まで働くなら、厚生年金の保険料を45年間払う計算です。

受給開始年齢を遅らせると、もらえる額は増えますが、「もらえるうちに、もらったほうがよくないですか?」と、真梨枝さん。「持病もあるし、どうなるか分からないから、先にもらうほうが良いかなと思って。どれだけ長生きするか分かりませんけど、亡くなった時にプラスマイナスゼロになっているのが理想です」

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最近、真梨枝さんは、自治体の広報誌にくまなく目を通すようになりました。「今までは気付かなかったのですが、還暦後の人向けの行事や講座などがあるのです。平日の日中なので、会社員の今は参加出来ませんが」。

お金をかけずに参加できる、老後世代向けのメニューを行政が用意していると分かりました。徐々に「老後」に向けての心構えをしています。

ただ、みなが「老後の楽しみ」としてよく挙げる長期の海外旅行は、真梨枝さんには難しいです。人工透析があるので、旅行は行けても1泊2日くらい。最近は、旅先で透析を受けながら、長期の国内旅行を楽しむ人もいます。

でも、知らない土地で初めての透析を受けるのは恐いと、真梨枝さんは言います。「病気を理由にしているだけかもしれませんけれど」