最新作『夢物語』を上映

これは僕の劣等感から言うことなんですが、日本ではアクションをやっていると頭がないように思われるといいますか、「もっとお芝居のほうを深くやったら?」と思われる状況であるような気がするんですね。

実際にアクションシーンがある作品に出ても、始まった途端に「もう時間がないのでこのへんで」と強制的に終わらされてしまう。香港映画だったら、まだ準備体操もしていない段階ですよ(笑)。観る人が求めていないのか製作者が求めていないのかわかりませんが、残念だなあと思います。

テレビは細かな制限もあるだけに、なおさら難しいですよね。暴力的なシーンは悪影響を与えるから良くないと言われますし。その点、僕らがやっていたような香港映画は殴ってもあまり血が出ないし、明るいんですよ。だから子どもでも観られる。ナイフで刺して血がドバーッでは教育上良くないですが、そういうシーンはなかったから。

現在僕は、東京にある「創武館道場」で週3回、空手とアクションを、大阪ではアクションを教えています。通っているのはドラマや映画・舞台でアクション俳優やアクション監督を目指す人たちですね。

額縁に入れられた道場訓の写真
倉田さんの教えが道場に飾られている(撮影◎本社 奥西義和)

最新作は『夢物語』という短編映画です。コロナ禍で現場の仕事が途絶えたことで、現場の仕事はないわ、このままでは体が衰えてしまうと思い、親類の竹やぶを一週間借りて撮影しました。

15分という短い作品を上映するところもないので、海外の映画祭に出品してみたら2か所で賞をいただいて。そして今回、配給会社の方が『帰って来たドラゴン』と同時上映という形にしてくださり、皆さんに観ていただけることになりました。今も新作を撮っている最中で、こちらは今月中に完成させて上映します。