古代ローマ時代の執念

実は今年2024年は、漫画の主人公である古代ローマの博物学者プリニウスの生誕2000年にあたるとされている。

偶然ですませてもいいのだが、前回の『テルマエ~』の受賞といい、人類史において高度な文明と社会を築いてきた古代ローマ時代の執念が、私という漫画家に憑依し、その存在感をもっと幅広く知らしめてほしいと言われているような気がしないでもない。

マリさん宅に二つ並ぶ手塚治虫文化賞のトロフィー

『テルマエ~』や『プリニウス』の翻訳が出版されているフランスやイタリアのメディアから、時々インタビューを受けることがある。

そのほとんどが「なぜ日本人であるあなたが、ここまで古代ローマ世界にこだわるのか」という内容だ。

その都度何度も繰り返し答えてきたのは、古代ローマと日本のさまざまな共通点についてである。