(写真提供◎photoAC)
2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年06月07日)******2024年で87歳の加山雄三さん。俳優・歌手として活躍し、70代以降は愛船の火災や病に見舞われながらも、ニックネーム「若大将」そのままに人生を駆け抜けています。著書『俺は100歳まで生きると決めた』から一部を抜粋し、加山さんが語る幸福論をご紹介。今回は、コンサート活動の引退について。“歌えるうちにやめる”と、加山さんはラストショーに臨んで――

最後までいつも通り歌う

脳梗塞と小脳の出血を経験したこともあって、85歳の誕生日を過ぎて少し経った2022年6月、俺はその年いっぱいでコンサート活動から引退することを発表した。

「歌えなくなってやめるのではなく、まだ歌えるうちにやめたい。最後までいつも通り歌う。それが一番なんだ」

俺は正直な気持ちを発表した。

あのとき、テレビ朝日の『徹子の部屋』にも出演して、黒柳徹子さんに話している。

「入口があれば出口があるということで、始まったら終わりがある、そのけじめっていうのは大事だなと思って、もうこの辺でやめた方がいいなと思って、自分で決断したんです」

今ふり返ると、率直な気持ちを黒柳さんに話しているよな。

そりゃあ、やめたくない気持ちはある。でもね、引き際は大切だからさ。お客さんの前で歌うっていうのは終わりにした。