2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年01月18日)******2021年に内閣府が高齢者向けに行った調査によると、普段、食生活について気になっていることは「栄養のバランスがとれていない」ことだと答えた人は約2割いたそう。「見た目の若さには、日々の食事が関係している」と話すのは、『老けない最強食』(文春新書)を著したジャーナリストの笹井恵里子さん。さらに笹井さんいわく、「脂質の高い肉は、一言で言うなら『老ける』『太る』ほうに傾く」とのことで――。
人生後半には「高タンパクな肉」を
抗加齢医学の国際的権威であるクロード・ショーシャ博士から指導を受け、高齢者医療に約30年関わってきた和田秀樹医師(ルネクリニック東京院院長)は「健康な日本人は、まだまだ肉によってタンパク質を摂らないといけない」と指摘する。
「アメリカ人の一日あたりの肉の摂取量は約300g。死因トップが心疾患で、だから『肉が動脈硬化の原因』のように言われます。けれども日本は心筋梗塞で亡くなる方の10倍、がんで死んでいます。アメリカ人と同じ土俵ではないのです。
肉は免疫機能の役割を高め、血管の材料になります。かつては上の血圧(収縮期血圧)が160mmHgくらいで脳卒中が起きましたが、今は栄養状態がよければ200mmHgに達してもそう簡単には血管が破れません。
それは動物性のタンパク質の摂取増によって脳血管が丈夫になったからです。肉の不足は、例えるとゴムの入っていないタイヤみたいな、破れやすい血管になってしまいますね」
IARCでは全世界地域での赤肉の一日摂取量を「約50~100g、200g以上の地域も含む」としているが、和田医師が言うように日本人の一日あたりの摂取量は赤肉50gと世界的にも低い。
国立がん研究センターは「日本人の平均的な摂取量であれば、リスクは無いか、あっても小さい」とコメントしている。