天皇の待つ清涼殿へ
さてその「入内」。
資料が豊富な平安時代後期ですと、女性は入内に合わせて親もとで成人式(裳着〈もぎ〉という)を行い、官位を賜り(通常は三位)、正式な名前を定めます(逆に言うと、その時まで名前がなかった)。
そのあと多くの供を連れて、牛車〈ぎっしゃ〉に乗って京都御所へ向かうのです。
御所の中は牛車が通れませんので、いったん車を降り、輦車〈てぐるま〉の宣旨〈せんじ〉を受ける。これにより、御所内を人力で引く輦車に乗ることを許されます。
さらにこれに乗り、また歩いて、天皇の待つ清涼殿〈せいりょうでん〉に渡るのです。