深刻な状態

救急車に乗るなんて初めてのことです。

救急隊員の方々が家に来たところまではわかっていましたが、それからの記憶はまったくありません。

『なにわ介護男子』(著:宮川大助・花子/主婦の友社)

のちに聞いた話だと、一緒に乗り込んだ大助くんは、私の手をギューッと握り、「花子、がんばれ! 花子、がんばれ!」と大声で励まし続けていたそうです。

その声が救急車のスピーカーから外にガンガン響いていたというんですから、えらいことです。

折しも、統一地方選挙に向けた選挙活動の真っ最中。

私が立候補していると勘違いした人もいたんでしょう。

開票してみたら「宮川花子」に3票入っていたそうです(笑)。

<イラスト:すぎやまえみこ 『なにわ介護男子』より>

というのは、のちに作った漫才のネタですが、大助くんが叫んだのはほんまの話。

嫁が抗がん剤の副作用で肺に水がたまり、死にかけていたんですから、動転するのも無理はありません。

奈良県立医科大学附属病院に担ぎ込まれたときは、心肺停止寸前・意識不明という、これ以上ないほど深刻な状態でした。