あまりにもめんどい戦い

「終わった」
「終わったね」
「やり遂げたね」

いや終わってない。やり遂げてない。ここからだ。ゴミ屋敷がボロ屋敷になっただけ。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

ここから賃貸運用するためにライフラインを修復する、そのために市とNPOに連絡をとって空き家バンクに登録(※2)し、あわよくば補助金(※3)で新しい給湯器などをつけて人が住める状態に戻さなくてはならない。

「めんどい」

気が遠くなった。考えるだけで、あまりにもめんどい戦いだった。

そもそも、誰ひとりこの家を収益物件にしたいとは思っていないのである。

ちなみに、私は伊豆に築75年の家を買ってDIYしてセカンドハウスライフを楽しんでいるが、この祖父の家のある地域にはからきし興味はないし、不動産投資はしたくない。

その理由は、お盆やお正月で集まるたびに、女は狭い台所に押し込められて、男だけがリビングで酒を飲んでいた過去がよみがえって死ぬほどむかつくからである。

出来ることなら破砕して更地にしたい。

いや、できない。なぜなら目の前の公道が売られてしまったから!!

できれば売りたい。手放したい。でも売れない。

目の前の道、おまえはなんで道みたいな顔して道じゃないんだ!!

※2 市とNPOに連絡をとって空き家バンクに登録
空き家物件情報を地方公共団体のホームページ上などで提供する仕組みのこと。NPO法人が管理を行っている場合が多く、登録には指定NPOに連絡が必要となる。

※3 補助金
空き家所有者への補助金制度を設けている自治体も多い。金額や条件などは実家のある自治体のホームページを確認。