常務から「食べないから」と受け取ったチョコの第一走者を思う

(東京都・柳直樹)

●評●
バレンタインデーの職場でのドラマ。常務というからには、それなりの社会的立場のある人だ。

本当に食べない場合でも、持ち帰って家族に渡すこともできるだろう。だとすると、家に持ち帰ると気まずいのか?

最初にこのチョコを常務に渡した女性は、どんな思いを込めたのだろうか。ただの義理チョコか、それとも真剣な恋心?

作中主体と同様、読者も背景をあれこれ想像(妄想)してしまう。それが短歌の面白いところで、もちろん正解はない。

チョコをバトンに見立てて、最初の女性を「第一走者」とした比喩が秀逸だ。

 

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