歌人の俵万智さん(右)と岡本真帆さん(左)(撮影:大河内禎)
SNSに投稿した作品で注目を集め、若手歌人として活躍する岡本真帆さん。中学生の時に俵万智さんの短歌に出合い、衝撃を受けたと言います(構成=篠藤ゆり 撮影=大河内 禎)

<前編よりつづく

心身のバロメーターに

岡本 実は私、2018年から3年ほど、歌を作れなかったんです。才能がある方々の作品と自分の歌を比べてしまい、すくんでしまったというか。目が肥えてきたのに、技術が追いついていなかった。

そんな時、ご縁があって第一歌集を出せることになり、なんとか間に合うように歌を作ろうと決意して。作っては人に見てもらううちに、スランプを克服できました。

 私も30代の頃、あまり歌が作れない時期がありました。散文の執筆など、短歌以外の仕事で忙しくて。そういう時は焦らず、無理をしない。私は生きている限り、歌を作り続けると確信しているから。

岡本 22年の春に第一歌集が出てから、歌人としての仕事もいただくようになり、会社との両立に疲れてしまって。コロナ禍をきっかけにリモートワークが可能になったので、地元に帰ることにしました。

今は生活が規則正しくなり、会社の始業前、朝8時から10時までを短歌を作る時間にしています。そして、会社の仕事もなるべく定時で終わらせる。がんばりすぎると、短歌を詠む気持ちが濁ってしまう気がするので、心身ともに健やかでいるよう努めています。