まひろがこの世にいる理由は道長の存在
まひろと道長はソウルメイトだといわれていますが、ふたりは恋愛という域を超えている感じがしています。たぶん“心の拠り所”ではないでしょうか。どこかお互いが“光と影”の存在というのか。まひろが影の部分になる時は道長が光っていて、まひろが光る時は道長が影として支えてくれていて。そんな関係なんだろうと思っています。石山寺でふたりの逢瀬もありましたが、人間ですから、そういうこともあるのかなと解釈しました。
道長がまひろに物語を書いてほしいと頼むことで、変わることと変わらないことがあって。変わったことは、まひろの立ち位置や環境です。それまで道長と同じ空間にいることがなかったけれど、こんなに一緒にいたいふたりが一緒にいられるようになって。でも、すごく近いのに、すごく遠い関係に感じられるようになってしまったり。もしかすると、三郎だった時のほうが遠い身分だけど、心の距離は近かったのかなとも思います。
変わらないことは、まひろと道長が惹かれ合っていること。まひろは道長のことをずっと思っているでしょうし、その気持ちが爆発しないように一生懸命自分の気持ちに蓋をして、距離を取っていると思います。まひろは道長とどうなりたいという感情で見ているのではなく、もう道長が生きていることが自分の生きがいになっているのではないかと私は感じていて。まひろがこの世にいる理由が、道長だと思っています。
そもそもまひろは、平安貴族の中では結婚も遅く、仕事がしたいという女性。現代でも、家庭に入るのか、入らないのか、1回その波が来る方もいらっしゃると思うんですよね。だけど仕事を選んで、結婚をしていないから幸せじゃないとか、結婚しているから幸せだとか、そういうものにとらわれない。それは、まひろも、私も、そこに居場所があるからかもしれないですね。平安時代の“当たり前”が何かはわからないですが、令和の時代も、当たり前の概念が変わってきていることを感じています。