まひろと賢子の親子関係は手探りで演じている

今回、演じるにあたっての準備として、いろいろなことに挑戦しました。書はもちろんのこと、琵琶や乗馬の稽古もして。思い起こせば、最初の『光る君へ』の会見の際、「馬に乗って現場に入りたい」とか言っていたんですね(笑)。今、その時の私に言いたいぐらい、乗馬って難しいです。馬の感情の起伏もありますし、ジョッキーってすごいんだなと改めて思いましたね。とはいえ、やっぱり書についてのことが一番の挑戦でした。この役をやる醍醐味でもあると思うので、楽しんでやっています。

雅な平安時代を描いていて、優美な動き方も多いので、動きが大きくないながらも大変なこともいっぱいあって。まひろは藤壺で女房として働くようになっていくので、衣装の着替えも大変です。これから後半戦となっていきますが、そのなかでは子どもとの向き合い方も挑戦でした。自分だけのことだったら何でもできるかもしれないですが、自分から生まれた子どもに対しての向き合い方に、まひろは頭を悩まされているところもあるのかなと。

私は母親になったことがないので、子どもとぶつかりあったり、思春期を迎える娘と急に仲良くなったり。そういう家族の距離感に関しては、まだ自分は娘という立ち位置でしか人生で経験したことがないので、母親役は難しいですね。今回は、まひろと賢子の関係がすごくリアルな感じで。今は仲良し親子が多い印象もあるんですが、ふたりはぶつかり合って口をきかないとか、会話がないからふたりのシーンでは「……」が続くとか。そういう台本をあまり見たことなかったので、面白いんですよね。想像しながら、手探りでやっています。

あとは、まひろが作家として物語を思い浮かべる時の、いわゆる生みの苦しみもあったはずで。よく筆が乗るとか、筆が踊るように書けるとか言いますが、そういう時とまったく進まない時の作家としての悩みが、今後はいろいろと出てきそうです。