『源氏物語』が描いた「嫉妬」

女性の嫉妬は、夫を愛する気持ちの表れです。

その嫉妬を許せないという左馬頭の妻への思いは、未熟な考えだったといえるでしょう。

『源氏物語』は、女性に対しては、嫉妬は上手にしなさいと述べ、男性に対しては、女性の嫉妬を許しなさいと述べているのです。

このとき、上流の女性たちとの交際を続けていた源氏は、中流階級の女性の話や、家柄や美貌を第一としないという話を、どのような思いで聞いたことでしょう。

※本稿は、『美しい原文で読む-源氏物語の恋のことば100』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
『源氏物語』冒頭に登場の桐壺更衣。激しいいじめで衰弱するも、宮中で亡くなることを許されず…紫式部がその生涯に込めた<物語を貫くテーマ>とは
『光る君へ』6年前の夜の会話を皆の前で披露した道長。まひろが目をきょろきょろさせるのも当然、その夜は…視聴者「当の娘の前で(笑)」「そりゃそうなる」「いとと乙丸の切ない顔よ」
中宮ですらなかった吉田羊さん演じる詮子。しかし天皇との間に皇子が産まれ、藤原兼家流は権力を…複雑すぎる『光る君へ』前後の天皇と藤原氏の関係を日本史学者が整理【2024年上半期BEST】

美しい原文で読む-源氏物語の恋のことば100』(著:松井健児/中央公論新社)

源氏物語の原文から、68人の人びとが語る100の言葉を厳選し解説。

多彩な登場人物や繊細な感情表現に触れ、物語の魅力に迫ります。