最初は「うわ、冷たい」と驚くが、その冷たさに慣れた頃、突然、
「ぎゃっ!」
思わず声が出るほどの痛みが走った。いったい何事が起こったのか。
「はい、終わりました。お支度してください」
めまいがするほどの痛みの余韻を覚えつつ、体勢を戻して椅子から降りると、私は下着をつけ、ヨロヨロと産婦人科医の前のスツールに座った。するとその先生、かすかに口角を上げ、
「痛かったでしょう」
私は力なく、答える。
「信じられない痛さでした」
「失神する人もたまにいるんです」
失神!? マジか!
幸い、その苛酷な検査をしたおかげで重篤な病ではなかったことが判明し、めでたしめでたしではあったが、今でもあの瞬間の痛みを思い出すと、クラクラする。そして、痛みは事前予告をされたほうが楽か、それとも、されないほうが楽だろうかと考える。