父・康次郎が亡くなったあと

1964年に父・康次郎が死去した。堤清二は、71年に流通部門を西武流通グループとして西武グループから独立させ、85年にこれを西武セゾングループへと改称、90年からはセゾングループと名乗った。

『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(著:満薗 勇/中央公論新社)

西武百貨店への入社から出発した堤清二の事業は、ファッションビルのパルコ(1969年開業)、コンビニエンス・ストアのファミリーマート(73年一号店)、ファミリーレストランのCASA(78年一号店)、クレジットカード事業の西武クレジット(76年緑屋と資本提携、80年社名変更)などに広がり、そのほか、不動産、レジャー、生命保険などにも及んだ。80年にグループから誕生した無印良品が、独自の店舗を出店し始めたのは83年のことであった。

事業規模の面では、1955年の西武百貨店の売上高は37億円だったが、85年にはグループ全体で、会社数91社、4研究所、資本金総額795億円、売上総額2兆8500億円という巨大なスケールへと成長し、まさに急激な拡大を見せている(由井編1991a、由井ほか2010)。

堤清二が築き上げたセゾングループの歩みは、「1つの企業の歴史を論じることが、直接的に、時代背景や経済社会の特徴を論じることにつながる」と言われるほど、時代を象徴する意味合いをもつと評される(加藤・大石2013)。