これを機に…
父は地元で仕事を探してくれると言っていたが、出版社で経験を積んできた私は、この機会に作家として独立しようと考えた。
そうして私たち親子は東京を離れ、生まれ育った町へと帰ってきた。もし私が働きたいと言い出さなければ、夫との関係が崩れることはなかっただろうか。いや、きっとどこかのタイミングでほころびが生まれていたはず。
何より自分が働くという選択をしていたおかげで、離婚に踏み切れた部分は大きい。大学進学を薦め、キャリアを積ませてくれた父と、私が手に職をもつ女性になるよう願ってくれていた母には、今更ながらに感謝の気持ちでいっぱいだ。
第21話へ続く。
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とんがりめがね
漫画家・デザイナー
大阪府出身。フリーランスのデザイナーとして働きながら、インスタグラムで子育てエッセイ漫画を投稿。「オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく」が連載漫画、作画デビュー作。
インスタグラム@tongari.megane_digital
ブログ「※あくまでウチの場合。」
https://tongarimegane.napbizblog.jp
森久美子
作家・拓殖大学北海道短期大学客員教授
1995年朝日新聞社北海道支社主催「らいらっく文学賞」に入賞。以来、多数の連載を持つほか、「食と健康」がテーマのラジオ番組のパーソナリティを務める。農林水産省・食料農業農村政策審議会委員などを歴任。著書に『ハッカの薫る丘で』(小社刊)『古民家再生物語』(小社刊)など。2022年より拓殖大学北海道短期大学客員教授