バルーンフェスタ最大の見どころ

下を見ると、河川敷にワンボックスカーが続々と入ってきた。6時から競技というのに、案外ギリギリまで車は少なかった。風の様子をうかがっていたのだろうか。

競技には、いろいろな種目があり、その複合得点で順位を競う。

だが基本は、数キロ離れたターゲットに、マーカーと呼ばれる砂袋を、いかに近づけて落とせるかだ。

熱気球は上下にしか操縦できない。風のみで進むので、時間や高度で刻々と変わる風の向きを読んで、風を掴みそれに乗って目的地を目指さねばならない。

だから、その日のゴールは風向きによって、試合直前に決められるそうだ。そんなルールなのか。

『新・佐賀漫遊記』(著:久住昌之/産業編集センター)

しかし、観客はバルーンについていくことはできないので、結果は全然見れない。各チームが、どう巧みに風を捕らえているか、どんな素晴らしい操縦をしてるかなんて、ここで気球を見送ったワタシらにゃ、なーんにもわかんない。

ゴールも遠くて、勝ち負けなんてわかりゃしない。会場に表示されることもない。

つまり、試合なのだが、観客はその勝敗を知ることができない。

誰が1位でゴールした、という情報も、会場で放送されるんだか、されないんだか。少なくとも電光掲示板的なものは観客席から見あたらない。

ここに来てる観客にとって、試合結果はどうでもいいようだ。

それより、全60機の一斉離陸の光景が見たいのだ。それこそがバルーンフェスタの、最大で唯一の見どころなのだ。それが現地でやっとわかった。

これは確かに競技スポーツなんだが、大声援とか、勝敗への大歓声は、ない。