(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
漫画・ドラマともに大人気の『孤独のグルメ』の原作者として知られ、日本中を飛び回る久住昌之さん。そんな久住さんがどっぷりハマり、足掛け6年以上通っているのが<佐賀県>です。そこで今回は、久住さんの著書『新・佐賀漫遊記』から、久住さん流・佐賀県の楽しみ方を一部抜粋してご紹介します。

バルーンフェスタ本番へ

佐賀インターナショナルバルーンフェスタの夜間係留イベントの翌朝は午前5時に起きて、まだ暗いうちに佐賀駅前の宿を出る。でも空は晴れていて星が見える。風は感じられない。風さえなければ大丈夫だ。

こんな朝から、電車は東京の通勤ラッシュ並みの鮨詰め大混雑だ。でも2駅の我慢。みんな見に行くのだ。バルーンさが駅でほぼ全員降りる。

会場に向かう観客はものすごい数だが、印象としては昨夜の方が多く、なんだ、せっかく晴れているのになあ、と思った。なぜかやや開催者側の気持ちになってる。

夜が明けてきた。淡い色の朝焼け。夜明けの雲がオレンジっぽく照らされて美しい。

会場に着くと、河川敷の土手の斜面はもう人でいっぱいだった。昨夜と変わらない。いやもっと多いか。なあんだ、もうみんな来ていたのか。いったい何万人いるんだろう。子供からお年寄りまで、あらゆる世代がいる。

夜の河川敷の大群集もすごかった。何万人?(写真:『新・佐賀漫遊記』より)

土手の斜面になんとか隙間を見つけて、持ってきたビニールの敷物を小さく広げて、腰を下ろす。お尻が冷たい。

すでにアナウンスが始まっていて、競技前だが、1機のバルーンが上がっている。デモンストレーションだろうか。説明がないのでわからない。

でも女性アナウンサーの声はずっと続いていて、その声がひときわ高く「**さん、行ってらっしゃーーーい」と言うと、そのバルーンは少し風に流されながら、ぐんぐん上がっていった。