倫子や明子の豪華な表着
一方、女房たちも、仕事を離れたプライベートな時間は袿姿で過ごしていたようです。つまり、袿姿が貴族の女性たちの普段着だったわけです。
ただし、同じ袿姿でも、まひろの日常着と、倫子や明子のそれでは、華やかさが格段に違います。まひろの袿は質素ですが、上流貴族の倫子や明子は二陪織物の豪奢な表着をまとっていて、身分の差は一目瞭然です。
京都三大祭の葵祭や時代祭では、こうした平安装束を間近に見ることができます。特に、時代祭の「平安時代婦人列」には紫式部や清少納言も登場するので、今年は例年以上に盛り上がるのではないでしょうか。
少々不思議に思うのは、時代祭の行列では、清少納言が「唐衣裳」の女房装束姿なのに、紫式部は小袿姿であること。しかも、清少納言が前で、そのうしろに紫式部が控えているため、どうしても清少納言のほうに注目が集まってしまいます。それを残念に思うのは、私だけでしょうか。