ジャケットにお金をかける

47歳になって、ずっと憧れだったシャネルジャケットを手に入れました。

物質を所有しているかしていないかは、どちらでも良いのですが、なぜ、私がシャネルのジャケットを欲しかったかというと。

素材感のあるジャケットはさまざまなシチュエーションで活躍<イラスト:原倫子 『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』より>

そして、どうして50歳直前まで待っていたかというと……。

それまでは、私の体のラインが、そして目指す方向性が、とにかく中途半端だったから。

そうしているうちに、あるタイミングで皮膚はゆるみ、肉質は柔らかくなり、重心は落ちる。

そろそろ、どのディレクションに行くかを、流れに任せて、ではなく自分で決めなくてはいけないときが来るのです。

シャネルだけではなく、上質なジャケットは、そんな瞬間に、私たちに問いかけてきます。

「そろそろ似合うけど、どうする?」と。