ジェンダーを解放した先駆者

ジャケットは、元々男性のアイテム。直線を際立たせ、立体的なフォルムを作ってくれるアイテム。

男性的で、マスキュリンなパーツをくっきりと見せてくれるのだとしたら、ボディラインが甘くなった年代には、間違いなく似合います。

そしてTシャツやデニムに比べて、素材だけでなく、パターン、縫製、そしてシルエット、ディテール。お金をかけるパーツが多いからこそ、ジャケットには投資してしかるべきと強く思います。

件(くだん)のシャネル。デザイナーのココ・シャネルは、元々紳士専売のジャケットを、女性がゆったりと、そして意思的に着こなすことで、ジェンダーを解放した先駆者です。

だからこそ、絶対に手に入れて体感したかったし、袖を通した瞬間、彼女のように、迷いなく人生を進め、きっぱりとマスキュリンに生きよう。そう、まさに人生のディレクションが決まったのでした。

ジャケットには、ブランドの矜持(きょうじ)が映る。

日本のブランドだったら、カオスやマディソンブルー、海外なら、セリーヌなど。

一生着られる、とは言わないけれど、一生に1回、覚悟を決めて良い。

※本稿は、『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。


見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(著:大草直子/マガジンハウス)

シミもシワも贅肉も嫌いじゃない。

気鋭のファッションエディターが本音で明かす、引いたり、足したり、大人のTIPS。