注目すべき2つの新薬の効果

最近では、生活習慣病の治療薬だけではなく、腎臓病自体に働きかける薬が出てきました。ここで、代表的な新薬を2つ紹介しておきましょう。

(1)SGLT2(エスジーエルティツー)阻害薬
(2)HIF(ヒフ)―PH(ピーエイチ)阻害薬

一つめのSGLT2阻害薬は、もともと糖尿病の治療薬です。それが、慢性腎臓病にも効果があることがわかり、保険適用されるようになりました。

SGLT2という物質は、腎臓の尿細管という場所で、体に必要なブドウ糖やナトリウムを再吸収する働きをしています。SGLT2阻害薬は、この再吸収を阻害します。

これによって、余分なブドウ糖が再吸収されずに尿として排出されるため、血糖値を下げるのです。

この尿細管でブドウ糖が再吸収される際、酸素を消費します。このため、再吸収量が増えると、酸素をたくさん使ってしまい、腎臓が低酸素状態に陥ります。

そして、低酸素状態に陥った腎臓の組織が繊維化していくのです。繊維化が進むと、腎機能が低下し、腎不全が起こりやすくなります。

この阻害薬によって再吸収を抑制すると、腎臓の低酸素状態が回避されるため、繊維化による腎機能の悪化を防ぐとされています。

SGLT2阻害薬は飲み薬です。慢性腎臓病の初期段階から、これを服用することで人工透析を回避したり、透析の開始時期を遅らせたりすることが期待できます。