硯は財産として後世にも伝えられた

さっそく答えを記しますと、正解は「硯」でした。

紙と筆は消耗品。墨もそれなりに長持ちしますが、使えばなくなる。

これに対して硯は格段に長持ちしますので、財産として後世にまで伝えられました。ですから、非常に価値が高いのですね。

なお、唐代にはまだ「文房四宝」という語は使われていません。

唐の滅亡後に中国南部を領土とする後唐(937年~975年)という王朝が立ちました。首都は現在の南京です。

この王朝は文化を重んじたので、唐代の文房具のあり方がここで整理され、中国を統一した宋王朝(960年~)に多大な影響を与えました。

つまり「文房四宝」は、宋において用いられるようになる言葉なのです。

でも、硯の最高峰とされた「端渓硯」が唐の時代から使われていたことが示すように、「硯」「墨」「紙」「筆」は唐の文人にも間違いなく重んじられていて、それが日本にも影響を与えていたのでした。


開催決定!《歴史探訪》本郷和人先生が同行!平安貴族ゆかりの京都2日間

本連載で解説を務める本郷先生の解説の元で歴史の舞台を巡るツアー企画。好評につき、徳川編武田編に続く第3弾【平安貴族編】の開催が決定いたしました!

(写真提供:Photo AC)
<魅力あふれる旅のポイント>
●単に観光地を巡るツアーとは違い「歴史」の知識を深める、大人の為の学び旅です。
●歴史学者・東京大学史料編纂所教授 本郷和人先生が同行!現地を実際に見ながら、詳しい説明を聞き、質問し、歴史のダイナミズムを自ら体感することができます。
●今年の話題! 紫式部ら平安貴族ゆかりの京都を2日間かけて巡ります!また在原業平と菅原道真が活躍する『応天の門』(灰原薬/新潮社)を監修している本郷先生ならではの、ここだけの話も!?
<予定訪問地>
・華やかな藤原摂関時代をしのぶことのできる世界遺産「平等院」
・紫式部が「源氏物語」の着想を得たとされる「石山寺」
・平安遷都1100年を記念して創建!桓武天皇と孝明天皇を祀る「平安神宮」
・歴代天皇の居所「京都御所」
・菅原道真公をお祀りした神社の宗祀「北野天満宮」
<そのほか>
2日目昼食後には本郷先生との懇談会のお時間もご用意!
離れていても案内が聞こえるイヤホンガイド付きで「密」回避!
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*詳しくは読売旅行のサイトでご確認ください。