「私、若い頃に音量が大きいスピーカーの前で踊ったりしていたのですけれど、それが理由ですかね」
「いや、それは関係ないですね。やはり加齢です。不便を感じるようになったら、補聴器の使用を考えてください」
バッサリ言い切られたうえ、補聴器を勧められるとは……。
目もだんだんと見えづらくなっている気がしたので、眼科へも行く。もともとひどい近視で、昼間は度数の強いコンタクトレンズを装着。家では牛乳瓶の底のような眼鏡をかけていた。すると、またもや衝撃的な診断が。
「白内障と緑内障があります。緑内障はまだ軽度ですが、白内障は両目ともかなりひどい。手術したほうがいいでしょうね」
受け入れがたい事実だった。白内障も緑内障も、かなり年配の人が発症するもの、というイメージだ。実際、私の母も白内障で手術をしたが、たしか70代だったはず。
先生にそう伝えると苦笑いしながら、「たまに若い方でも発症することがあるのです。先日も40代の女性に手術をしました。術後は眼鏡もコンタクトもいらなくなるので、みなさん『もっと早く手術をしておけばよかった』とおっしゃいますよ」。
先生からそこまではっきり言われてしまったら、手術するしかないだろう。毎日のコンタクトの手入れも面倒だし、卒業できるならそれはそれで魅力的である。