(イラスト:きじまももこ)
内閣府が発表した「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では、65歳以上の男女において現在の健康状態を「良い」と回答した割合が30.9%、「普通」が41.7%、「良くない」が24.6%だった。実年齢はうまくごまかせても、身体のほうまで若くはいられないようで……。石田祥子さん(仮名・千葉県・主婦・57歳)は、年齢より若く見られるよう、体型維持や認知症予防に力を入れていましたが、目と耳の<老化>には抗えないようで――

受け入れがたい《加齢》の2文字

私はいつも正しい年齢を言い当てられない。たいていは40代後半くらいに見られる。実年齢を伝え、「30代と20代後半の子どもと、生まれたばかりの孫もいる」と言うと、「おばあちゃんなんて信じられない!」と驚かれるのだ。普段の努力が認められたようで一人ほくそえむ。

少しでも体形を維持しようと、毎日ユーチューブの動画を参考に体操をしたり、フィットネスゲームに励んだり。月に2度はストレッチ体操教室にも通っている。

そのおかげで、ディスコでモテモテだった20代の時と体重は変わらない。認知症予防も兼ねてピアノの練習や読書に励んでいるので、頭もそれほど衰えていないはず。エンジニアである子どもとの小難しい会話にも、なんとかついていけているから、自画自賛でもないだろう。

しかし努力もむなしく、確実に「老化」は私に忍び寄っていた。それは、耳と目である。

去年の健康診断の結果に、「右耳、難聴気味。要検査」と書かれていたので、耳鼻科へ行った。両耳を検査してもらったのだが、そこで先生に言われた言葉がショックだった。

「たしかに右耳の聞こえが悪いですね。特に高音がほとんど聞き取れていないようです。加齢の影響によるものですね」

え? 先生、今、加齢と言った? 信じたくなかった私は苦し紛れに聞いてみた。