よく見えるようになったはいいけれど

そうして迎えた手術日。待合室を見渡すと、どうやら、70代、80代の方ばかり。緊張しながら待っていたら、なんだか一気に老けこんだ気がした。すると、年配の女性に話しかけられる。

「お姉さん、若いのに手術するの?」

「もう60歳手前なので、お姉さんと言われるような年ではないんです。今日は右目、来週は左目を手術します」

「あら60歳? そうは見えないわねぇ。私も両目手術で、先週右目が終わったのだけど、全然痛くなかったわよ。そんなに緊張しなくても大丈夫」

実年齢に見られないのは嬉しかったが、ここではむしろ年相応に見られたほうが、「若いのに白内障なんだ」と思われずに済んだのではないか。素直に喜べない自分がいた。

待合室にいた方の言葉通り、手術の痛みはまったくなく、両目とも無事に成功。緑内障のほうは、目薬で視野の欠損の進行を抑えるということになった。たしかによく見えるようになったし、コンタクトいらずはストレスがない。