オリンピック後景気が低迷⁉
ここまで紹介したマネー術は、慣れないことに挑戦したり情報を集めて比較検討する必要があり、正直、面倒と思われるかもしれません。しかし、自分の身は自分で守るという意識で積極的かつスピーディに行動しなければ、20年以降の社会から取り残されてしまう危険があることを、ぜひ肝に銘じてほしいのです。
日本の経済をマクロで見た場合、今年の注目ポイントは不動産市況の変化です。新築マンションの初月契約率(新規に販売開始した月の発売戸数に対する契約戸数の割合)は、70%以上であれば好調といわれますが、すでに首都圏では2015年から70%割れが続いています。一方で、資材や人件費の高騰から、新築マンションの価格は過去最高を記録。
このバランスが、オリンピックを引き金に崩れるのではないか。また新築だけでなく、中古マンションも在庫が増えているので、不動産の購入を予定している人は焦らずじっくり待って。逆に売却を考えている人は、値引きも視野に入れて早めの決断がおすすめです。
また当社にも「親から相続した不動産をどうしよう」という相談が急増していますが、買い手の少ない地方や郊外の物件は、売れるうちに手放してしまうのがいいでしょう。
不動産市況が低迷すると、住宅ローンが稼ぎ口であった銀行にも大きな打撃です。すでに低金利と個人投資の低迷で、2019年9月の中間決算でメガバンクは軒並み減益。これまでも支店の統廃合などで利用者にも影響が及んでいましたが、今後は口座を持っているだけで年間数百円から数千円の口座維持手数料がかかる可能性が。利用していない口座は早めに整理しておくといいでしょう。
2019年7~9月期の国内総生産(GDP)は増税前の駆け込み需要もあり、かろうじてプラス成長を維持しました。しかし増税後は、大手百貨店の10月の売上高が2割近く下回るなど個人消費は確実に落ち込んでいます。オリンピックという「景気のドーピング効果」も切れ、米中貿易摩擦など世界経済の先行きも不透明ななか、今後の景気の冷え込みは避けて通れません。
五輪関連業種以外でも、その影響は確実です。転職や再就職を考えているなら、年明けが最後のチャンスになりそう。一日も早く行動を起こし、条件のいい職場の確保をおすすめします。