本来のオフレコ
西村 メディア側としては、政権の考えや思惑に迫ることができる貴重な場ではある。もっともアメリカではその後、バックグラウンドルールが少し書き換えられました。発言者は匿名のままで仕方がないにしても、情報源の属性をもう少し具体的に書こう、と。
たとえば、「**について知り得る立場にあるが、△△の理由で名前を明かせない事情のある人物」というように。少しでも透明性を高めたいという狙いからでした。これなんかは、高官、幹部、筋といった表現が大量にあふれている日本の記事に比べるとまだ親切だと思いますが。
佐藤 でもロシアの場合はそもそも、複数人がいたら決してオフレコとは言わないな。「二人の間でなら秘密の話も、三人で話せば翌日には隣の犬も知っている」という感覚が常識です。
西村 そうだね(笑)。本来はオフレコって、一対一の取材の場において、相手がオフレコを条件に提起して、こちらがそれを飲むか飲まないかっていう、そういう駆け引きに使うものです。