「今だからこそ聴きたい、裕次郎ソング」その1

石原裕次郎・生誕90年「今だからこそ聴きたい、裕次郎ソング」

選曲・解説 オトナの歌謡曲プロデューサー・佐藤利明

M1 想い出 (1956年)
M2 俺は待ってるぜ (1957年)
M3 鷲と鷹 (1957年)
M4 嵐を呼ぶ男 (1957年)
M5 錆びたナイフ (1958年)
M6 なつかしき思い出 (1959年)
M7 銀座の恋の物語 (1961年)
M8 男と男の生きる街 (1961年)
M9 赤いハンカチ (1962年)
M10 二人の世界 (1965年)
M11 泣かせるぜ (1965年)
M12 夜霧よ今夜も有難う (1967年)
M13 ひとりのクラブ (1967年)
M14 黎明 (1984年)
M15 わが人生に悔いなし (1987年)

歌う石原裕次郎さん
(提供:テイチクエンタテインメント)

■M1 『想い出』 日活『狂った果実』主題歌

作詞・清水みのる 作曲・寺部頼幸 編曲・久我山明
演奏・バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ
1956年8月リリース

日活映画『狂った果実』(1956年7月12日)のダンスパーティの場面で、裕次郎がウクレレ片手に歌うのが『想い出』です。このシーンで、日本中の映画ファンは「歌う映画スター・石原裕次郎」の誕生を目撃したのです。原曲は寺部頼幸とココナツ・アイランダースのレパートリーですが、歌詞は清水みのるにより、新たに書き下ろされました。レコーディングは、1956(昭和31)年6月26日の夜。撮影を終えた裕次郎が、杉並区堀之内のテイチクスタジオに駆けつけたものの、初の吹き込みに緊張して「ビールをください」と、スタッフが用意したビールをグッと飲んで歌ったそうです。演奏は、もちろんバッキー白片とアロハ・ハワイアンズ。

■M2 『俺は待ってるぜ』 日活 『俺は待ってるぜ』主題歌

作詞・石崎正美 作曲・上原賢六 編曲・大久保徳二郎
1957年2月リリース

今でこそ、1957(昭和32)年10月20日封切の蔵原惟繕監督による日活アクション黎明期の傑作『俺は待ってるぜ』の主題歌として親しまれていますが、実はレコードが先でした。1957年1月22日に、裕次郎2枚目のレコードとしてリリース。作詞・石崎正美、作曲・上原賢六、編曲・大久保徳二郎のゴールデントリオの楽曲です。もちろん、この曲は大ヒット。そこで日活が企画したのが『俺は待ってるぜ』でした。ブラジルから兄の便りを待ち続ける裕次郎が、兄が殺されていたことを知り復讐を果たす。初期の裕次郎映画のモチーフである「兄弟の物語」であると同時に、港町ヨコハマを舞台にしたアクション映画でした。この映画から横浜が日活アクションの舞台となり、『あぶない刑事』に至るまで「横浜がアクションの聖地」となったのです。

■M3 『鷲と鷹』(海の男は行く) 日活『鷲と鷹』主題歌

作詞・井上梅次 作曲・萩原忠司〔多忠修〕 編曲・萩原忠司
1958年1月リリース

『狂った果実』からちょうど1年2ヵ月後、1957年9月29日に封切られた井上梅次監督の海洋アクション映画『鷲と鷹』の主題歌です。劇中で浅丘ルリ子を口説きながら歌う『海の男は行く』という曲を、改めてレコード用に1958年1月10日に吹き込んだものです。作詞は井上梅次監督、作曲・編曲は萩原忠司さん。ビクター・オーケストラのリーダーだった多忠修のテイチクでのペンネーム。