「今だからこそ聴きたい、裕次郎ソング」その3
■M8 『男と男の生きる街』 日活『男と男の生きる街』主題歌
作詞・熊井啓 作曲・編曲・伊部晴美
1961年12月リリース
後に『黒部の太陽』(1968年)を手掛ける、監督デビュー前の熊井啓がシナリオを執筆。舛田利雄監督が演出したミステリー・アクションです。社会部記者・裕次郎と、彼の父を誤って射殺してしまった刑事・加藤武との確執など、後の石原プロモーション制作のドラマ『大都会ー闘いの日々ー』(1976年)のルーツともいうべき味わいです。冒頭に流れる主題歌『男と男の生きる街』は、熊井啓の作詞。作曲は舛田利雄作品を数多く手掛けた、ギタリストで音楽家の伊部晴美。
■M9 『赤いハンカチ』 日活『赤いハンカチ』主題歌
作詞・萩原四朗 作曲・上原賢六 編曲・塩瀬重雄
1962年10月リリース
日活アクションの最高作の一つ『赤いハンカチ』は、1962(昭和37)年10月にリリースされた同名曲を主題歌にしたムードアクション。リリース以来、1年4ヵ月。大ヒット曲となった『赤いハンカチ』をモチーフに、裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明の過去と現在が交錯する「男と女」の物語は、実に味わい深いです。
■M10 『二人の世界』 日活『二人の世界』主題歌
作詞・池田充男 作曲・鶴岡雅義 編曲・福島正二
レキント・ギター・鶴岡雅義
1965年5月リリース
『二人の世界』は、1965(昭和40)年5月リリース。レキントギターの名手・鶴岡雅義が、ラテン・グループ「トリオ・ロス・カバジェロス」時代のレパートリーを裕次郎が気に入りカヴァーをすることに。池田充男が新たに作詞をしてリニューアルしビッグヒットとなりました。この曲をモチーフに、1966年2月25日、浅丘ルリ子をヒロインに迎え日活ムードアクションとして同名映画化。映画は、殺人犯の汚名を着せられ海外逃亡をしていた主人公・北條修一(裕次郎)が時効寸前に帰国、事件の真相を探るべく行動を起こします。北條は日本行きの客船で、ジャーナリスト・川瀬(二谷英明)から逃れるため、咄嗟にヒロインの戸川玲子(ルリ子)と「かつての恋人」を演じる。ありもしない「過去の二人の関係」を言葉で交わす二人。この甘美な感覚が「ムードアクション」の味わいでもあります。
■M11 『泣かせるぜ』 日活『泣かせるぜ』主題歌
作詞・滝田順 作曲・鶴岡雅義 編曲・牧野昭一
1965年5月リリース
1960年代後半の裕次郎ソングの流れを変えた『二人の世界』のカップリング曲『泣かせるぜ』は、鶴岡雅義作曲、滝田順作詞による「ムード歌謡」の傑作。1965(昭和40)年5月にレコードがリリースされ、その5ヵ月後に、裕次郎と浅丘ルリ子のアクション映画の主題歌となります。静岡県清水港を舞台にした海洋アクションですが、この年デビューしたばかりの新人・渡哲也が出演。裕次郎と初共演を果たしました。クライマックス、嵐の甲板で裕次郎と渡哲也の壮絶なファイトシーンがありますが、ここから二人の「男と男の世界」が始まったのです。