「今だからこそ聴きたい、裕次郎ソング」その4

■M12 『夜霧よ今夜も有難う』 日活『夜霧よ今夜も有難う』主題歌

作詞・作曲・浜口庫之助 編曲・山倉たかし
1967年2月リリース

裕次郎の代表曲の一つとなった『夜霧よ今夜も有難う』の誕生にはこんなエピソードがあります。元々は、裕次郎が一緒にゴルフをした浜口庫之助に「先生、何か書いてください」と依頼して生まれました。ムードアクションが連作されるなか誕生したこの曲は、ハンフリー・ボガート主演の名作『カサブランカ』(1942年)をモチーフに、1967(昭和42)年の日活映画『夜霧よ今夜も有難う』の主題歌として、永遠のスタンダードとなりました。イントロのサックスは、名手・松浦ヤスノブ。

■M13 『ひとりのクラブ』 日活『黄金の野郎ども』主題歌

作詞・なかにし礼 作曲・大沢保郎 編曲・渡辺たかし
1967年12月リリース

ボサノバ・スタイルのアレンジが心地よく、個人的には佐藤利明の裕次郎シネマソング史上のベスト曲です。1967(昭和42)年暮れ、お正月映画として封切られた日活アクション『黄金の野郎ども』(江崎実生)の主題歌として、劇中に繰り返し流れます。『夜霧よ今夜も有難う』でムードアクションというジャンルの頂点を極めた江崎実生監督は、この『黄金の野郎ども』にヴァイオレンスとハードボイルドのテイストを加え、「新しい裕次郎映画」に挑戦しました。それまでの「甘美さ」に背を向けるように、ここでの裕次郎は頬に傷のあるスカーフェイス、暗黒街に生きるダーク・ヒーローでした。

■M14 『黎明』 東宝『零戦燃ゆ』主題歌

作詞・阿久悠 作曲・三木たかし 編曲・若草恵
1984年7月リリース

「歌う映画スター」として戦後を駆け抜けた裕次郎の「最後の映画主題歌」です。1984(昭和59)年、舛田利雄監督の『零戦燃ゆ』(東宝)のために、阿久悠が作詞、三木たかしが作曲。裕次郎は映画に出演していませんが、盟友・舛田利雄監督のためにと主題歌を引き受けたのです。作詞の阿久悠は、1962(昭和37)年の舛田監督と裕次郎のコンビ作『零戦黒雲一家』の主題歌『黒いシャッポ』(作詞・舛田利雄)へ格別な思いを抱いており、この『黎明』とカップリングの『北斗七星―乙女の神話―』を一気に書き上げたそうです。

『わが人生に悔いなし/俺の人生』のジャケット
(提供:テイチクエンタテインメント)

■M15 『わが人生に悔いなし』

作詞・なかにし礼 作曲・加藤登紀子 編曲・若草恵
1987年4月リリース

1987(昭和62)年2月、病気療養中のハワイで収録した裕次郎のラストレコーディング・セッションとなった曲。作詞は盟友・なかにし礼、作曲はこれが裕次郎への最初で最後の楽曲提供となった加藤登紀子。“わが人生に悔いはない”というフレーズは、裕次郎自身の人生とも重なります。美空ひばりの『川の流れのように』同様、本物のスターが人生の最終コーナーで、ファン、そして次の世代に残した素晴らしいメッセージです。

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<収録曲>
1、北の旅人(昭和62年8月)
2、ブランデーグラス(昭和52年4月)
3、銀座の恋の物語(デュエット:牧村旬子) (昭和36年1月)
4、嵐を呼ぶ男(昭和42年3月)
5、赤いハンカチ(昭和37年10月)
6、みんな誰かを愛してる(昭和54年9月)
7、勇者たち(昭和58年3月)
8、黎明(昭和59年7月)
9、夜霧よ今夜も有難う(昭和42年2月)
10、時間よお前は…(昭和57年4月)
11、嘆きのメロディー(昭和59年2月)
12、二人の世界(昭和40年5月)
13、おれの小樽(昭和58年8月)
14、恋の町札幌(昭和47年5月)
15、思い出さがし(昭和58年4月)
16、わが人生に悔いなし(昭和62年4月)


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