アトリエの壁には愛用のギターや工具など、鈴木さんにとって楽しさの原点となるものが飾られている(撮影:須合知也)
子どもが日常で直面するさまざまなピンチをユーモアたっぷりに描いた絵本『大ピンチずかん』は、現在3巻で300万部をこえる大ヒットシリーズだ。作者の鈴木のりたけさんは、二男一女の父親として、子どもたちの成長を見守ってきたという。(構成:山田真理 撮影:須合知也)

前編よりつづく

二足のわらじを履いて人生でいちばん働いた

グラフィックデザイナーとして働き数年が経った頃、やはり自分の手触りを感じるような仕事がしたいと初心に返って思い立ち、イラストを描いてコンテストに応募したり、自分の描いた作品を広告業界の人に見せたりと、創作活動を始めるようになりました。

そうしたら、「イラスト単体では何を伝えたいかわかりにくい」と言われて。一枚絵じゃなくて連作にしてみよう、マンガっぽくしたらどうだろう、今度は文章を付けてみようと試行錯誤するうちに、30ページくらいの絵本みたいなものができました。

それを文芸社ビジュアルアート出版文化賞というコンテストに応募したのです。すると、思わぬ賞を受賞して出版されることに。

大人になってから絵本に触れる機会はなく、結婚はしていましたが子どもはまだ生まれていなかったので、身近にもなかった。受賞した『ケチャップマン』という絵本は、まったく子ども向けの絵やテキストではなかったのに、幼い子たちも喜んで読んでくれたのが意外でしたね。